The BeatlesのThe Night Before 失恋をポップに歌う初期の手法

シェアする

The Night Before (The Beatles)

アルバム「Help! 4人はアイドル」に収録されている「隠れ名曲」です。アルバムでは、タイトル曲”Help!”に続く2曲目に収録されています。”Help!”の勢いをそのまま引き継いだポップな曲調ですが、歌詞は失恋を歌っています。

ビートルズのデビューアルバムからこのアルバムまでは、失恋風の歌詞でもポップに歌い上げる手法が使われています。この次のアルバム「Rubber Soul」あたりからは歌詞の作風も変わってくるのですが、それはまた別の機会に取り上げましょう。

この記事ではThe Night Beforeの歌詞や意味の解説と、歌詞に使われている英語表現やフレーズの解説をします。歌詞カードに付いてくる対訳はあくまでも一つの解釈です。英語の歌詞を英語で読み取って、あなただけの日本語訳や和訳をしてみてくださいね!

本サイトでは、批評・研究の目的での引用に留め、歌詞の全体像やその対訳・翻訳・和訳は、著作権や翻訳権の関係で載せていません。英語の歌詞についてはgenius.com>The Night Beforeをどうぞ。

歌詞全般について

昨日は優しかった彼女に対して、「昨日の君に戻ってくれ」と嘆く気持ちを一人称の言葉で描いています。心変わりした相手を責めるような言葉も見受けられます。

同アルバムにはかの有名な「Yesterday」が収録されていますが、あちらは三人称で歌詞が綴られており、より洗練された感があります。

the night beforeとyesterdayは、ほぼ同義の英語表現です(…と思います)が、同じアルバムの中で、「きのう」をテーマにした歌を、一方はポップスで、もう一方はバラードで楽しませるビートルズはやはり素晴らしい。

英語の歌詞と和訳のヒント

we said our goodbyes the night before

say goodbyeは文字通り「さよならを告げる」
the night before 「一昨日前」
同じ意味となりそうなyesterdayは、今日が起点になるのに対し、the night beforeはある日を起点にしてその一日前という意味です。

love was in your eyes

goodbyesとeyesは韻を踏んでいます。

now today I find you have changed your mind

now today I find 「今日になってようやくわかった」
have changedは現在完了の用法。現在完了は過去の事柄が「今も続いている」というニュアンスなので、「君が気変わりしてしまった(今もそれは変わっていない)ということになります。

treat me like you did the night before

ここは命令形。「昨日してくれたみたいに僕を扱ってよ」

were you telling lies

過去進行形の疑問文。tell liesで「嘘をつく」

was I so unwise

soは「とても」、unwise「愚かな」

when I held you near you were so sincere

held you near 「君を近くに抱き寄せた時」
sincere 「正直な、誠実な」

last night is a night I will remember you by

まずa night (that) I will remember …と関係代名詞のthatを補って考えましょう。
直訳すると、「昨日は僕が君がそばにいるように思い出すであろう夜だ」
“you by”は後からとってつけたようにも聞こえますね(個人的な感想)。

when I think of things we did

things (that) we didと、ここも関係代名詞thatを補うとよいです。
「昨日僕たちがしたことを考えると」

it makes me wanna cry

make A doで「Aに…させる」の意味。「それは僕を泣きたい気持ちにさせる」
wanna = want toの略語。

ジョン・レノンのHohner Pianetが聴きどころ!

1965年は、ビートルズの音楽が変容していく過渡期であり、以降ビートルズ各メンバーはそれぞれメインの楽器以外の演奏を披露する場面が増えていきます。

この曲ではジョン・レノンがHohner Pianet(エレピ)を演奏しているのが印象的です。彼らが出演する映画「Help!」の演奏シーンでも、実際にジョンがエレピの腕前を披露している場面を見ることができます。

The Night Beforeはたったの2テイクで録られていますが、人気絶頂で多忙な彼らが、いかに短い時間で曲の収録をしなければならなかったを物語っていますね。

リードギターは誰が弾いている?

メンバーが各自の持ち場を離れて他の楽器を演奏し始めたのは上に書いたとおりですが、この曲のリードギターは誰が弾いているでしょうか? ポール・マッカートニー? ジョージ・ハリスン?

実はこの曲ではその二人がリードギターを担当しています。

よく聞くと1オクターブ違いで、リードギターの音色が聞こえます。片方をポールが、もう片方がジョージが弾いています。どちらが上でどちらが下の担当かは不明です。今で言うツインギターってやつですかね。

アルバム「Help!」のリリース2か月前にビートルズがBBCラジオで披露した本曲のライブバージョンも、そんなことを考えながら聴いてみるときっと二倍楽しめますよ!